パウンドケーキと聞くとあまり印象にない方が多いのではないでしょうか?
パティスリーで主役になるのは、やはり色とりどりの華やかな生菓子達という印象が強いかと思います。
パウンドケーキの名前の由来は
バター、砂糖、小麦粉、卵を“ 1ポンド”づつ使用して作るところから来ています。
ポンドケーキがパウンドケーキに変化して残ったという感じです。
作り方は至ってシンプル。材料もシンプル。
故に無限の可能性を秘めていると、私自身信じています。
それこそパウンドケーキが主役のお店があってもいいじゃないかと思わせてくれる程に。
『こだわり』
Forchettaで作るパウンドケーキはまず素材選びから始まります。
シンプル故に素材の味がダイレクトに伝わるからです。
ドライフルーツ 1つとっても産地やサイズ感、あとは何よりも食べてみて“美味しい”かどうかを重視します。
そのドライフルーツをそれぞれのパウンドケーキの特色に合わせて加工していきます。
例えば柑橘のケーキに使用するイチジクは、オレンジ果汁を使ってじっくり半日火にかけながら味を浸透させていきます。
こうする事で、いちじく本来の食感や風味を生かしつつ、オレンジ果汁をたっぷり含んだジューシーな仕上がりになります。
例えばフルーツの皮から作るピールコンフィチュールは、信頼する農家さんから直送されてきた果実の皮を余す事なく使用して作ります。
もちろん添加物は一切使用しておりません。(フルーツの実はレストランのデザートで使用するので、文字通り果実丸々使用しています。)
こうして 1つ1つ手間暇かけて加工した具材を使って 1つ1つのレシピを組んでいきます。
Forchettaのラインナップに並ぶケーキ達は全てまったく違うレシピで焼き上げています。
何度も試作を重ねて、それこそ材料を1g単位で調整してベストな所を探っていきます。
焼く温度や時間は日によって変わります。
焼き菓子はとても繊細なので、温度、湿度によって生地の状態は千差万別です。
それを見極め、常にベストな焼き加減に調整してあげるのが一番大切な技術だと思います。
よくForchettaのケーキを食べた人から、
「こんなにしっとりしているパウンドケーキを食べたのは初めて!」
と嬉しいお言葉を頂きます。
ベストなレシピ配合、適切な具材の処理、最高の焼き加減。
この3つが揃って初めて成し得る技です。
自身で作った物を通信販売を通して全国へお届けするにあたって、
“ただ美味しい”だけでは意味がないと、私自身思っています。
そこには“感動”が生じるべきであり、「食べた人が忘れられない味」ただそれだけを一番の目標に活動しています。
「あなたの主役になれる、そんなパウンドケーキ」を自信を持ってお届け致します。
『パウンドケーキのおいたち』
余談ではありますが、
私自信、実は甘いものがあまり得意ではなく、
調理の専門学校に通っていた頃はお菓子作りに全く興味がありませんでした。
ところがどっこい、レストランに就職してまず初めについたポジションは“パティシエ”
製菓の授業をことごとくサボっていた私は、何も出来ないという壁に直面します。
そんな私にシェフから課せられた最初の課題が、
「お土産用のパウンドケーキ10種類の開発」でした。
当然パウンドケーキも作ったことのなかった私は、とにかく専門書に齧り付くようにして猛勉強しました。
同時に気が狂いそうな試作の日々。
毎日のようなシェフからのダメ出しに心折れそうになりながらも、なんとか初めて合格点をもらった
「ローストナッツとドライフルーツのキャラメルケーキ」
は今でも思い出深いケーキの1つです。
それから何とか10種類のケーキを完成させた頃には、すっかりお菓子作りの虜になっていました。
今では勉強も兼ねてですが、お菓子を食べるのが好きになりましたし、
自信を持って「私はパティシエです」と言えるようになりました。
パウンドケーキを通して、何かを成し遂げる諦めない心とチャレンジ精神を得ることが出来たのかなと、
当時を振り返って思います。
かれこれパウンドケーキを焼き始めて7年の私。
すっかり慣れ親しんだパウンドケーキですが、まだまだ可能性に溢れる良きパートナーだと思っています。
これからも初心を忘れず、常に新鮮な気持ちで真摯に向き合っていきたいと強く思います。